サンキュー・スモーキング』

世の中は常におかしいです. タバコが有害だと言われればパッケージにドクロマークをつけろ! と非難されるのに、コレステロールで亡くなる人が多い割にはチーズは糾弾されないのですから. 物事なんて所詮は一人一人が判断することなのに、誰に責任があるかはっきりしない大衆意見で個人の意見まで決定させられるおかしさを風刺コメディにしたこの映画. 評判通り面白い作品でした. 『JUNO/ジュノ』 を見た時も感じたことなのですが、このジェイソン・ライトマンという監督さんは一見重いテーマを見方を変えるだけで風刺コメディにするのがとても巧い映画監督だと思います. しかも「この意見が正しい」なんて押し付けがましいことなどなく、この映画のテーマ同様に見た人が自分で考えて判断してくださいね♪という作りが非常に心地いいです. 私は残念ながら経験がないのですが、これがディベートの面白さというものなんでしょうね. 要は「正しいことを言うのではなく、相手が間違っているところを指摘すればいいだけ」なんですから. そんな詭弁とも取れる話術で活躍するニックを始め、この映画は皮肉を巧く用いた描き方で楽しませてくれるのが実に面白かったです. 例えばニックが週末に参加する会合のメンバーがタバコ、アルコール、銃の宣伝担当者だったり、タバコ業界を描いている割には喫煙シーンがひとつもなかったり. またいくら正論を並べても人が働く理由なんて所詮99%はローン返済のためと言えば、その言葉で女性記者に巧くハメられてしまうブラックな面白さ. 特にセクシーな女性記者にものの見事にやられてしまうくだり. リーバーチ バッグ、トリーバーチ 靴、トリーバーチ店舗 仕事で活躍する女性ってそのほとんどが性格は男性だと言われているんですから、一番注意しなくては. しかもネタをほしがる記者ならなおさら. 世の中の男性のみなさん、世の中の女性全てが性格まで女性だと思っていてはダメですよ. 男性の中にも性格が女性の方がいるように、女性もまた同じなんですから! まぁそんな訳で私はニックみたいに弁が立つ人間でもありませんし、またあんなセクシーな女性記者に狙われることもありませんが、大衆意見に迎合することが苦手な分、世の中の矛盾に対して皮肉ることは大好きです. そんな私もまだまだ世の中の矛盾に気付けていないと思えることがたくさんあったこの映画. この先、タバコが値上がりしても喫煙し続けるか禁煙するかは自分自身で判断していこうと思いましたよ. 深夜らじお@の映画館 は揚げ足取りなら結構得意です.