ベオウルフ/呪われし勇者

予告編は今年一番興奮したのに、本編は今年一番眠たかった映画でした. とにかくラストのドラゴンとの戦い以外は全くヒマで、ベオウルフが魔物と戦っている間はずっと私は睡魔と戦っていたという駄作でしたね. これならB級映画として見れた クリストファー・ランバート版 の方が面白かったかも知れませんよ. 先日アカデミーアニメ作品賞ノミネート候補作品の中にこの作品がエントリーされていたように、この映画は全編モーションキャプチャーによるフルCGアニメ作品なんですよね. またロバート・ゼメキス監督自身が『フォレスト・ガンプ/一期一会』などに代表されるように新しい映像に凄く興味を持っている方とあって、こういう挑戦的な映画が作られた経緯は何となく理解できます. でもだからと言って、実写でも十分魅力的な登場人物までフルCGにする必要はなかったのではないか? と思いました. というのもこの作品にはフルCGにしたがために実写でなら描けていたはずの怪物グレンデルとの戦いにおける迫力やドラゴンとの対決での重量感がことごとく欠けてしまっているんですよね. 『300』とは大違いですよ. しかも登場人物も基本的に顔までフルCGで描かれているので生命力や血色があまり感じられず、いざピンチになっても見ている方からすれば「殺られるかも」とか「死んでしまうかも」とかいうドキドキ感も全くなしなんです. たらいまわし」は失礼だろ常識的に考えて でもレイ・ウィンストンアンジェリーナ・ジョリーは時々顔だけは実写になっていたので本物っぽく見えたシーンもあったのですが、それなら全員アイコラにしとけよ! って思いますよね. いったいこの中途半端さは何なの? 中途半端といえば登場人物のキャラも酷いこと、酷いこと. ジョン・マルコヴィッチなんて嫌味を言ってヤケドしただけでしたし、アンジーに至っては水の中から出てきただけ. アンソニー・ホプキンスも酔っ払ってばかり. 主役のレイ・ウィンストンもあの魅力的なボディがCGではなく本物だったらもっと格好よく見えたのに~と惜しまれるばかりでした. 考えてみればそもそもロバート・ゼメキス監督って凄く優等生って感じの作品が多く、今回も全裸のベオウルフの急所だけは絶対に見せないくだりや全身金ぴか魔女との情事も全て生ぬるい! そんな中途半端に描くなら始めからそんなシーンは削除しとけ! ってなものが多すぎて、やっぱりこの監督の作品って素直に好きになれないなぁ~と改めて思いましたよ. 同じくモーションキャプチャーを用いた 『APPLESEED』 や 『エクスマキナ』 、そして 『ベクシル2077日本鎖国』 と比べてもかなり質の劣る映画を見せられた気がしました. ロバート・ゼメキス監督の今後が少し心配です. 深夜らじお@の映画館 は睡魔と戦うと高確率で敗北します.